しおんしょう (四恩抄) ひらがな漢字交互文2

四恩抄 ひらがな漢字交互文2

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いかでか しょうぶんの あだに よって おろかに おもい たてまつる べきや. 
争か 少分の 怨に 依つて おろかに 思ひ 奉る べきや. 

4には 3ぽうの おん しゃかにょらい むりょうこうの あいだ ぼさつの ぎょうを たて たまいし とき. 
四には 三宝の恩 釈迦如来 無量劫の 間 菩薩の 行を 立て 給いし 時. 

いっさいの ふくとくを あつめて 64ぶと なして くどくを みにえ たまえり. 
一切の 福徳を 集めて 六十四分と 成して 功徳を 身に 得 給へり. 

その 1ぶんをば わが みに もちい たもう. 
其の 一分をば 我が 身に 用ひ 給ふ. 

いま 63ぶをば この せかいに とどめ おきて 5じょく ぞうらんの とき. 
今 六十三分をば 此の 世界に 留め 置きて 五濁 雑乱の 時. 

ひほうの さかり ならん とき ほうぼうの もの くにに じゅうまんせん とき. 
非法の 盛 ならん 時 謗法の 者 国に 充満せん 時. 

むりょうの しゅごの ぜんじんも ほうみを なめずして. 
無量の 守護の 善神も 法味を なめずして. 

いこう せいりょく げんぜん とき にちがつ ひかりを うしない てんりゅう あめを くださず ちじん じみを げんぜん とき. 
威光 勢力 減ぜん 時 日月 光りを 失ひ 天竜 雨を くださず 地神 地味を 減ぜん 時. 

そうもく こんきょう しよう けか やくとうの 7みも うしなわせん とき 10ぜんの こくおうも どん じん ちを まし. 
草木 根茎 枝葉 華菓 薬等の 七味も 失せん 時 十善の 国王も 貪 瞋 癡を まし. 

ふぼ 6しんに こうせず したしからざん とき. 
父母 六親に 孝せず したしからざらん 時. 

わがでし むち むかいにして かみ ばかりを そりて しゅごしんにも すてられて かつみょうの はかりごと なからん. 
我が 弟子 無智 無戒にして 髪 ばかりを 剃りて 守護神にも 捨てられて 活命の はかりごと なからん. 

びく びくにの いのちの ささえと せんと ちかい たまえり. 
比丘 比丘尼の 命の ささへと せんと 誓ひ 給へり. 

また かちの 3ぶんの くどく 2ぶんをば わが みに もちい たまい ほとけの じゅみょう 120まで よに まします べかりしが. 
又 果地の 三分の 功徳 二分をば 我が 身に 用ひ 給ひ 仏の 寿命 百二十まで 世に まします べかりしが. 

80にして にゅうめつし のこる ところの 40ねんの じゅみょうを とどめおきて われらに あたえ たもう おんをば. 
八十にして 入滅し 残る 所の 四十年の 寿命を 留め 置きて 我等に 与へ 給ふ 恩をば. 

4だいかいの みずを すずりの みずとし いっさいの そうもくを やいて すみと なして いっさいの けだものの けを ふでとし. 
四大海の 水を 硯の 水とし 一切の 草木を 焼て 墨と なして 一切の けだものの 毛を 筆とし. 

じゅっぽう せかいの だいちを かみと さだめて しるし おくとも. 
十方 世界の 大地を 紙と 定めて 注し 置くとも. 

いかでか ほとけの おんを ほうじ たてまつるべき. 
争か 仏の 恩を 報じ 奉るべき. 

ほうの おんを もうさば ほうは しょぶつの しなり しょぶつの たっとき ことは ほうに よる. 
法の 恩を 申さば 法は 諸仏の 師なり 諸仏の 貴き 事は 法に 依る. 

されば ぶつおんを ほうぜんと おもわん ひとは ほうの おんを ほうずべし. 
されば 仏恩を 報ぜんと 思はん 人は 法の 恩を 報ずべし. 

つぎに そうの おんを いわば ぶっぽう ほうぽうは かならず そうに よりて じゅうす. 
次に 僧の 恩を いはば 仏宝 法宝は 必ず 僧に よりて 住す. 

たとえば たきぎ なければ ひ なく だいち なければ そうもく しょうず べからず. 
譬えば 薪 なければ 火 無く 大地 無ければ 草木 生ず べからず. 

ぶっぽう ありと いえども そう ありて ならい つたえ ずんば しょうほう ぞうほう 2000ねん すぎて まっぽうへも つたわる べからず. 
仏法 有りと いへども 僧 有りて 習 伝へ ずんば 正法 像法 二千年 過ぎて 末法へも 伝はる べからず. 

ゆえに だいしっきょうに いわく 5かの 5ひゃくさいの のちに. 
故に 大集経に 云く 五箇の 五百歳の 後に. 

むち むかいなる しゃもんを とがありと いって これを なやますは. 
無智 無戒なる 沙門を 失ありと 云つて 是を 悩すは. 

このひと ぶっぽうの だいとうみょうを めっせんと おもえと とかれたり. 
此の 人 仏法の 大燈明を 滅せんと 思えと 説かれたり. 

しかれば そうの おんを ほうじ がたし. 
然れば 僧の 恩を 報じ 難し. 

されば 3ぽうの おんを ほうじ たまうべし. 
されば 三宝の 恩を 報じ 給うべし. 

いにしえの しょうにんは せっせんどうじ じょうたいぼさつ やくおうだいし ふみょうおう とう. 
古の 聖人は 雪山童子 常啼菩薩 薬王大士 普明王 等. 

これらは みな わがみを おにの うち かいと なし みの けつずいを うり ひじを たき こうべを すて たまいき. 
此等は 皆 我が 身を 鬼の うち かひと なし 身の 血髄を うり 臂を たき 頭を 捨て 給いき. 

しかるに まつだいの ぼんぷ 3ぽうの おんを こうむりて 3ぽうの おんを ほうぜず. 
然るに 末代の 凡夫 三宝の 恩を 蒙りて 三宝の 恩を 報ぜず. 

いかに してか ぶつどうを じょうぜん. 
いかに してか 仏道を 成ぜん. 

しかるに しんちかんきょう ぼんみょうきょう とうには ぶっぽうを がくし. 
然るに 心地観経 梵網経 等には 仏法を 学し. 

えんとんの かいを うけん ひとは かならず 4おんを ほうずべしと みえたり. 
円頓の 戒を 受けん 人は 必ず 四恩を 報ずべしと 見えたり. 

それがしは ぐちの ぼんぷ ちにくの みなり 3わく 1ぶんも だんぜず. 
某は 愚癡の 凡夫 血肉の 身なり 三惑 一分も 断ぜず. 

ただ ほけきょうの ゆえに めり きぼう せられて とうじょうを くわえられ るざい せられたるを もって. 
只 法華経の 故に 罵詈 毀謗 せられて 刀杖を 加えられ 流罪 せられたるを 以て. 

だいせいの ひじを やき ずいを くだき こうべを はねられたるに なぞらへんと おもう. 
大聖の 臂を 焼き 髄を くだき 頭を はねられたるに なぞらへんと 思ふ. 

これ ひとつの よろこびなり. 
是れ 一つの 悦びなり. 

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だい2に だいなる なげきと もうすは ほけきょう だい4に いわく. 
第二に 大なる 歎きと 申すは 法華経 第四に 云く. 

もし あくにん あって ふぜんの こころを もって いっこうの なかに おいて げんに ぶつぜんに おいて つねに ほとけを きばせん そのつみ なお かるし. 
若し 悪人 有つて 不善の 心を 以て 一劫の 中に 於て 現に 仏前に 於て 常に 仏を 毀罵せん 其の 罪 尚 軽し. 

もし ひと ひとつの あくげんを もって ざいけ しゅっけの ほけきょうを どくじゅする ものを きしせん その つみ はなはだ おもし とうと うんぬん. 
若し 人 一つの 悪言を 以て 在家 出家の 法華経を 読誦する 者を 毀呰せん 其の 罪 甚だ 重し 等と 云云. 

これらの きょうもんを みるに しんじんを おこし みより あせを ながし りょうめより なみだを ながすこと あめの ごとし. 
此等の 経文を 見るに 信心を 起し 身より 汗を 流し 両眼より 涙を 流すこと 雨の 如し. 

われ ひとり この くにに うまれて おおくの ひとをして いっしょうの ごうを つくらしむることを なげく. 
我 一人 此の 国に 生れて 多くの 人をして 一生の 業を 造らしむることを 歎く. 

かの ふぎょうぼさつを ちょうちゃくせし ひと げんしんに かいげの こころを おこせし だにも なお つみ きえがたくして せんごう あびじごくに おちぬ. 
彼の 不軽菩薩を 打擲せし 人 現身に 改悔の 心を 起せし だにも 猶 罪 消え 難くして 千劫 阿鼻地獄に 堕ちぬ. 

いま われに あだを むすべる やからは いまだ 1ぶんも くゆる こころも おこさず. 
今 我に 怨を 結べる 輩は 未だ 一分も 悔る 心も おこさず. 

これ ていの ひとの うくる ごうほうを だいしっきょうに といて いわく. 
是 体の 人の 受くる 業報を 大集経に 説いて 云く. 

もし ひと あって せんおくまんの ほとけの ところにして ぶっしんより ちを いださん. 
若し 人 あつて 千万億の 仏の 所にして 仏身より 血を 出さん. 

こころに おいて いかん このひとの つみを うる こと むしろ おおしと せんや いなや. 
意に 於て 如何 此の 人の 罪を うる 事 寧ろ 多しと せんや 否や. 

だいぼんのう いわさく もし ひと ただ 1ぶつの みより ちを いださん むげんの つみ おおし. 
大梵王 言さく 若し 人 只 一仏の 身より 血を 出さん 無間の 罪 尚 多し. 

むりょうにして かぞえを おきても かずを しらず あび だいじごくの なかに おちん. 
無量にして 算を おきても 数をしらず 阿鼻 大地獄の 中に 堕ちん. 

いかに いわんや まんおくの ぶっしんより ちを いださん ものを みんをや. 
何に 況や 万億の 仏身より 血を 出さん 者を 見んをや. 

ついに よく ひろく かの ひとの ざいごう かほうを とくこと あること なからん. 
終に よく 広く 彼の 人の 罪業 果報を 説く事 ある事 なからん. 

ただし にょらいをば のぞき たてまつる. 
但し 如来をば 除き 奉る. 

ほとけの いわく. 
仏の 言はく. 

だいぼんてんおう もし わがために かみを そり けさを かけ かたときも きんかいを うけず けっぱんを うけん ものを なやまし のり つえを もって うちなんどする こと あらば. 
大梵王 若し 我が 為に 髪を そり 袈裟を かけ 片時も 禁戒を うけず 欠犯を うけん 者を なやまし のり 杖を もつて 打ちなんどする 事 有らば. 

つみを うること かれよりは おおし と. 
罪を うる事 彼よりは 多し と. 

こうちょう 2ねん みずのえいぬ しょうがつ 16にち にちれん かおう. 
弘長 二年 壬戌 正月 十六日 日蓮 花押. 

くどう さこんのじょう どの. 
工藤 左近尉 殿

四恩抄 ひらがな漢字交互文 終了

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by hiraganagosho | 2013-06-24 06:02 | 四恩抄