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ふなもりやさぶろうもとごしょ (船守弥三郎許御書) 背景と大意

■ふなもり弥三郎もと御書 (背景と大意)
日蓮だいしょうにん ごしょ1445ページ1行目から1446ページ18行目まで。

以下の内容は、仏教哲学大辞典(創価学会版)と、日蓮だいしょうにん御書講義(聖教新聞社)第33巻を参考にまとめたものです。

■背景と大意

本抄は、だいしょうにん40歳の御時、伊豆国(静岡県)伊東、川奈の漁師、ふなもり弥三郎に与えられた御書である。
ふなもりとは、船頭のかしらの意味である。
この御書は、弘長元年6月12日、だいしょうにんが伊豆流罪にされたとき、30日あまり、だいしょうにんをかくまい、げご、支給したふなもり弥三郎夫婦に対してしたためられた。
だいしょうにんは、前年の7月16日、立正安国論を提出したところ、約一か月後にまつばがやつのそうあんが襲撃された。(そうあんは全焼)
このことで鎌倉を離れていたが、再び翌年の春に鎌倉に戻られたとき、幕府はだいしょうにんを召し捕り、伊豆に流罪した。
「日蓮が未だ生きたる不思議なりとて伊豆の国へ流しぬ」(355頁)とあるように、まつばがやつのそうあんの襲撃で大聖人は殺されたと思っていたが、生きていたので伊豆流罪にしたのである。
本書は、ご供養の品々をお届けしたことに対し、返礼として書かれたものである。
文中に「さきにまいらせし ふみにつぶさにかきてそうらいし」とあるように、本書以外にもふなもり弥三郎にお手紙があったことを示唆している。加えて「かくさせたまへ」とあるように、ご供養の品々を送ったことを世間に知られないようにしてくださいとのご発言があり、当時の伊豆流罪の厳しい状況がうかがわれる。
だいしょうにんは、伊豆流罪で川奈にて疲労の極に達せられ苦しんでいたが、弥三郎夫妻は我が身の危険を顧みず、30日余りも だいしょうにんをかくまい続けた。
このことを だいしょうにんは絶賛されている。
さらにじとうの 伊東八郎ざえもんのじょう が重病に陥り、病気平癒の祈願を依頼され、これを祈念され、病気が平癒したこと、このことで じとうが釈迦の立像を大聖人にささげたことが述べられている。
加えて、弥三郎が海中より引き上げた仏像を大聖人にささげた。
この海中からの仏像(釈迦像)を大聖人は終生、所持されたと伝えられる。
大聖人滅後、この釈迦像は墓のかたわらに立て置かれたが、にちろう(日朗)がこれを持ち去り、のちに京に運ばれる途中、海路、嵐に遭って、再び海中に沈んだとされる。

□語句の解説

1.
ちまき ほしい さんせう.
食物のちまき、ほしい(蒸したコメを乾燥させたもの)、さんしょう(葉と実が食物となるみかん科の植物)のこと。
2.
津.
つとは、海岸、川の船が停泊するところをさす。
3.
ぎゅう しょう しんじ にょ くよう お ほっし(及 清 信士 女 供養 於 法師).
および しょうしんじにょ をツカワシテ法師を供養せしめと読む。
4.
じゅうらせつにょ.
10人の悪鬼の女人のこと。
法華経守護の諸天善じん。
5.
てんしょう はちまん だいしょうのしんぎ(天照 八幡 大小の 神祇).
てんしょうとは てんしょうだいじん「あまてらすおおみかみ」のこと。大和朝廷の先祖神。
はちまんだいぼさつは武士の守護神。
だいしょうのしんぎとは、天の神、地の神のさまざまな神のこと。
6.
いろくづ.
魚のうろこのこと。
7.
むし しきしん ほんぜりしょう みょうきょう みょうち こんごうふめつの ぶっしん 
(無始 色心 本是 理性 妙境 妙智 金剛不滅の 仏身).
無始からの体と心は本来理性であり、法華経を行ずることで みょうきょうと みょうちを備えた金剛不滅の成仏の境涯を得ることができるの意。
8.
ごひゃく じんてん(五百 塵点).
途方もなく長い時間の経過のたとえ。
9.
一念三千.
一念の中に三千の諸法を含有するの意味。
10.
常住し説法.
常にここに住して法を説くとよむ。
11.
しゃらのしけん(沙羅の 四見).
しゃらとは、しゃら林のことで、釈尊がねはん(死)に入った場所のこと。しけんとは、見る人たちがその境涯によって4種に見えたことを指す。
土砂草木に見えた、金銀七宝の荘厳された所と見た、三世諸仏の所行のところとみた、不可思議諸ぶつの境界と見るなど。
13.
びしゅ かつまてん(昆首羯摩天).
天神。鳩に化身して王の道心をためそうとした。
14.
はんそく王の 城へ 入りし 普明王.
はんそくおうとは、古代インドの国王の名。邪教の教えで千人の王の首を得ようとして、最後、その千人目の王がふみょうおうであった。ふみょうおうは一人の婆羅門を供養したいと1日の猶予を得て、婆羅門の供養をし、王位を太子に譲って約束通りはんそく王の元に帰った。その正直さに はんそくおうはうたれて他の999人の王をも許したという。
15.
あぬるだ.
あぬるだ尊者のこと。(阿那律尊者)
無貧ともいわれる。
法華文句第一に説かれる。乞食を行じていた仏を見た貧人が、稗の飯を供養した。その貧人に兎が飛び跳ねて背中に抱きつき、死人に変じた。貧人からその死人は離れない。やがてその死人はきんじん(金人)となり、これを聞いた悪人たちが奪おうとしたがそれはただの死人に見えた。しかし、貧人には宝であったという故事。
16.
しゃくまなん(釈摩男).
過去世の善行によって、手にするものが ことごとく宝となる神通力があった。

△語句の ひらがな漢字交互

げご (外護)
まつばがやつ (松葉ヶ谷)
そうあん (草庵)
じとう (地頭)
いとうはちろう ざえもんの しょう (伊東八郎 左衛門 尉)
じゅうらせつにょ (十羅刹女)
ねはん (涅槃)
ふかしぎしょぶつ (不可思議諸仏)
はんそく おう (班足王)

○ふなもり弥三郎もと御書 ひらがな文へ

◎ふなもり弥三郎もと御書 ひらがな漢字交互文へ

◇ふなもり弥三郎もと御書 目次へ

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by hiraganagosho | 2013-06-21 21:22 | ふなもり弥三郎もと御書

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