立正あんこく論 (安国論) ひらがな漢字交互文12

◎立正あんこく論 ひらがな漢字交互文12
(ごしょ31ページ7行目から32ページ17行目)

しゅじん よろこんで いわく. 
主人 悦んで 曰く. 

はと けして たかと なり すずめ へんじて はまぐりと なる. 
鳩 化して 鷹と 為り 雀 変じて 蛤と 為る. 

よろこばしきかな なんじ らんしつの ともに まじわりて まほの しょうと なる. 
悦しきかな 汝 蘭室の 友に 交りて 麻畝の 性と 成る. 

まことに その なんを かえりみて もっぱら この ことばを しんぜば. 
誠に 其の 難を 顧みて 専ら 此の 言を 信ぜば. 

かぜ やわらぎ なみ しずかにして ふじつに ほうねんならん. 
風 和らぎ 浪 静かにして 不日に 豊年ならん. 

ただし ひとの こころは ときに したがって うつり ものの しょうは きょうに よって あらたまる. 
但し 人の 心は 時に 随つて 移り 物の 性は 境に 依つて 改まる. 

たとえば なお すいちゅうの つきの なみに うごき じんぜんの いくさの つるぎに なびくが ごとし. 
譬えば 猶 水中の 月の 波に 動き 陳前の 軍の 剣に 靡くがごとし. 

なんじ とうざに しんずと いえども のち さだめて ながく わすれん. 
汝 当座に 信ずと 雖も 後 定めて 永く 忘れん. 

もし まず こくどを やすんじて げんとうを いのらんと ほっせば すみやかに じょうりょを めぐらし いそいで たいじを くわえよ. 
若し 先ず 国土を 安んじて 現当を 祈らんと 欲せば 速に 情慮を 回らし イソイで 対治を 加えよ. 

ゆえんは いかん. 
所以は 何ん. 

やくしきょうの しちなんの うち ごなん たちまちに おこり になん なお のこれり. 
薬師経の 七難の 内 五難 忽に 起り 二難 猶 残れり. 

いわゆる たこく しんぴつの なん じかいほんぎゃくの なんなり. 
所以 他国侵逼の 難 自界叛逆の 難なり. 

だいしっきょうの さんさいの うち 2さい はやく あらわれ いっさい いまだ おこらず いわゆる ひょうかくの さいなり. 
大集経の 三災の 内 二災 早く 顕れ 一災 未だ 起らず 所以 兵革の 災なり. 

こんこうみょうきょうの うちの しゅじゅの さいか いち いち おこると いえども. 
金光明経の 内の 種種の 災過 一 一 起ると 雖も. 

たほうの おんぞく こくないを しんりゃくする この さい いまだ あらわれず この なん いまだ きたらず. 
他方の 怨賊 国内を 侵掠する 此の 災 未だ 露れず 此の 難 未だ 来らず. 

にんのうきょうの しちなんの うち 6なん いま さかんにして いちなん いまだ げんぜず. 
仁王経の 七難の 内 六難 今 盛にして 一難 未だ 現ぜず. 

いわゆる しほうの ぞく きたって くにを おかすの なんなり. 
所以 四方の 賊 来つて 国を 侵すの 難なり. 

しかのみならず こくど みだれん ときは まず きじん みだる きじん みだるるが ゆえに ばんみん みだる と. 
加之 国土 乱れん 時は 先ず 鬼神 乱る 鬼神 乱るるが 故に 万民 乱る と. 

いま この もんに ついて つぶさに ことの こころを あんずるに ひゃっき はやく みだれ ばんみん おおく ほろぶ. 
今 此の 文に 就いて 具さに 事の 情を 案ずるに 百鬼 早く 乱れ 万民 多く 亡ぶ. 

せんなん これ あきらかなり こうさい なんぞ うたがわん. 
先難 是れ 明かなり 後災 何ぞ 疑わん. 

もし のこる ところの なん あくほうの とがに よって ならび おこり きそい きたらば その とき いかんが せんや. 
若し 残る 所の 難 悪法の 科に 依つて 並び 起り 競い 来らば 其の 時 何んが 為んや. 

ていおうは こっかを もといとして てんかを おさめ じんしんは でんえんを りょうしてせじょうを たもつ. 
帝王は 国家を 基として 天下を 治め 人臣は 田園を 領して 世上を 保つ. 

しかるに たほうの ぞく きたって その くにを しんぴつし じかいほんぎゃくして そのちを りゃくりょうせば あに おどろかざらんや あに さわがざらんや. 
而るに 他方の 賊 来つて 其の 国を 侵逼し 自界叛逆して 其の 地を 掠領せば 豈 驚かざらんや 豈 騒がざらんや. 

くにを うしない いえを めっせば いずれの ところにか よを のがれん. 
国を 失い 家を 滅せば 何れの 所にか 世を 遁れん. 

なんじ すべからく いっしんの あんどを おもわば まず しひょうの せいしつを いのらん ものか. 
汝 須く 一身の 安堵を 思わば 先ず 四表の 静謐を 祷らん 者か. 

なかんずく ひとの よに あるや おのおの ごしょうを おそる. 
就中 人の世に 在るや 各 後生を 恐る. 

32ページ冒頭

これを もって あるいは じゃきょうを しんじ あるいは ほうぼうを たっとぶ. 
是を 以て 或は 邪教を 信じ 或は 謗法を 貴ぶ. 

おのおの ぜひに まようことを にくむと いえども しかも なお ぶっぽうに きすることを かなしむ. 
各 是非に 迷うことを 悪むと 雖も 而も 猶 仏法に 帰することを 哀しむ. 

なんぞ おなじく しんじんの ちからを もって みだりに じゃぎの ことばを あがめんや. 
何ぞ 同じく 信心の 力を 以て 妄りに 邪義の 詞を 宗めんや. 

もし しゅうしん ひるがえらず また きょくい なお そんせば はやく ういの さとを じして かならず むけんの ごくに おちなん. 
若し 執心 飜らず 亦 曲意 猶 存せば 早く 有為の 郷を 辞して 必ず 無間の 獄に堕ちなん. 

ゆえんは いかん だいしっきょうに いわく. 
所以は 何ん 大集経に 云く. 

「もし こくおう あって むりょうせに おいて せかいえを しゅうすとも わが ほうの めっせんを みてすてて おうごせずんば かくの ごとく うゆる ところの むりょうの ぜんこん ことごとく みな めっしつし. 
「若し 国王 有つて 無量世に 於て 施戒慧を 修すとも 我が 法の 滅せんを 見て 捨てて 擁護せずんば 是くの 如く 種ゆる 所の 無量の 善根 悉く 皆 滅失し. 

ないし その おう ひさしからずして まさに じゅうびょうに あい じゅじゅうの のち だいじごくに しょうずべし. 
乃至 其の 王 久しからずして 当に 重病に 遇い 寿終の 後 大地獄に 生ずべし. 

おうの ごとく ふじん たいし だいじん じょうしゅ ちゅうし ぐんしゅ さいかんも また また かくの ごとく ならん」と. 
王の 如く 夫人 太子 大臣 城主 柱師 郡主 宰官も 亦 復 是くの 如く ならん」と. 

にんのうきょうに いわく. 
仁王経に 云く. 

「ひと ぶっきょうを やぶらば また こうしなく ろくしん ふわにして てんりゅうも たすけず. 
「人 仏教を 壊らば 復た 孝子 無く 六親 不和にして 天竜も 祐けず. 

しつえき あっき ひに きたって しんがいし. 
疾疫 悪鬼 日に 来つて 侵害し. 

さい げ しゅびし れんか じゅうおうし しして じごく がき ちくしょうに いらん. 
災 怪 首尾し 連禍 縦横し 死して 地獄 餓鬼 畜生に 入らん. 

もし いでて ひとと ならば ひょうぬの かほう ならん. 
若し 出て 人と 為らば 兵奴の 果報 ならん. 

ひびきの ごとく かげの ごとく ひとの よる かくに ひは めっすれども じは そんするが ごとく さんがいの かほうも また また かくの ごとし」と. 
響の 如く 影の 如く 人の 夜 書くに 火は 滅すれども 字は 存するが 如く 三界の 果報も 亦 復 是くの 如し」と. 

ほけきょうの だい 2に いわく. 
法華経の 第 二に 云く. 

「もし ひと しんぜずして この きょうを きぼうせば ないし その ひと みょうじゅうして あびごくに いらん」と. 
「若し 人 信ぜずして 此の 経を 毀謗せば 乃至 其の 人 命終して 阿鼻獄に 入らん」と. 

どう だい 7のかん ふぎょうほんに いわく 「せんごう あびじごくに おいて だいくのうを うく」と. 
同 第 七の巻 不軽品に 云く 「千劫 阿鼻地獄に 於て 大苦悩を 受く」と. 

ねはんぎょうに いわく. 
涅槃経に 云く. 

「ぜんゆうを おんりし しょうほうを きかず あくほうに じゅうせば この いんねんの ゆえに ちんぼつして あびじごくに あって うくる ところの しんぎょう じゅうおう 8まん4千 ゆえん ならん」と. 
「善友を 遠離し 正法を 聞かず 悪法に 住せば 是の 因縁の 故に 沈没して 阿鼻地獄に 在つて 受くる 所の 身形 縦横 八万四千 由延 ならん」と. 

ひろく しゅうきょうを ひらきたるに もっぱら ほうぼうを おもんず. 
広く 衆経を 披きたるに 専ら 謗法を 重んず. 

かなしいかな みな しょうほうの もんを いでて ふかく じゃほうの ごくに いる. 
悲いかな 皆 正法の 門を 出でて 深く 邪法の 獄に 入る. 

おろかなるかな おのおの あっきょうの つなに かかって とこしなえに ぼうきょうの あみに まつわる. 
愚なるかな 各 悪教の 綱に 懸つて 鎮に 謗教の 網に 纒る. 

この もうむの まよい かの じょうえんの そこに しずむ あに うれえざらんや あにくるしまざらんや. 
此の 朦霧の 迷彼の 盛焔の 底に 沈む 豈 愁えざらんや 豈 苦まざらんや. 

なんじ はやく しんこうの すんしんを あらためて すみやかに じつじょうの いちぜんにきせよ. 
汝 早く 信仰の 寸心を 改めて 速に 実乗の 一善に 帰せよ. 

しかれば すなわち さんがいは みな ぶっこくなり ぶっこく それ おとろえんや じゅっぽうは ことごとく ほうどなり ほうどなんぞ こわれんや. 
然れば 則ち 三界は 皆 仏国なり 仏国 其れ 衰んや 十方は 悉く 宝土なり 宝土 何ぞ 壊れんや. 

くにに すいび なく どに はえ なくんば みは これ あんぜん こころは これ ぜんじょうならん. 
国に 衰微 無く 土に 破壊 無んば 身は 是れ 安全 心は 是れ 禅定ならん. 

この ことば この ことば しんず べく あがむ べし. 
此の 詞 此の 言 信ず 可く 崇む 可し. 

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by hiraganagosho | 2013-03-09 23:08 | 立正あんこく論