立正あんこく論 (安国論) ひらがな漢字交互文 9

◎立正あんこく論 ひらがな漢字交互文9
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きゃく いささか やわらぎて いわく. 
客 聊か 和ぎて 曰く. 

いまだ えんでいを きわめざるに しばしば その おもむきを しる. 
未だ 淵底を 究めざるに 数ば 其の 趣を 知る. 

ただし からく より りゅうえいに いたるまで しゃくもんに すうけん あり ぶっけに とうりょう あり. 
但し 華洛 より 柳営に 至るまで 釈門に 枢ケン 在り 仏家に 棟梁 在り. 

しかるに いまだ かんじょうを まいらせず じょうそうに およばず. 
然るに 未だ 勘状を 進らせず 上奏に 及ばず. 

なんじ いやしき みを もって たやすく ゆうげんを はく. 
汝 賎 身を 以て 輙く 莠言を 吐く. 

その ぎ あまり あり その り いわれ なし. 
其の 義 余り 有り 其の 理 謂れ 無し. 

しゅじんの いわく. 
主人の 曰く. 

よ しょうりょう なりと いえども かたじけなくも だいじょうを がくす. 
予 少量 為りと 雖も 忝くも 大乗を 学す. 

そうよう きびに ふして ばんりを わたり へきら しょうとうに かかりて せんじんを のぶ. 
蒼蝿 驥尾に 附して 万里を 渡り 碧蘿 松頭に 懸りて 千尋を 延ぶ. 

でし いちぶつの こと うまれて しょきょうの おうに つかう. 
弟子 一仏の 子と 生れて 諸経の 王に 事う. 

なんぞ ぶっぽうの すいびを みて しんじょうの あいせきを おこさざらんや. 
何ぞ 仏法の 衰微を 見て 心情の 哀惜を 起さざらんや. 

そのうえ ねはんぎょうに いわく. 
其の上 涅槃経に 云く. 

「もし ぜんびく あって ほうを やぶる ものを みて おいて かしゃくし くけんし こしょ せずんば まさに しるべし この ひとは ぶっぽうの なかの あだなり. 
「若し 善比丘 あつて 法を 壊ぶる 者を 見て 置いて 呵責し 駈遣し 挙処 せずんば 当に 知るべし 是の 人は 仏法の 中の 怨なり. 

もし よく くけんし かしゃくし こしょせば これ わが でし しんの しょうもんなり」と. 
若し 能く 駈遣し 呵責し 挙処せば 是れ 我が 弟子 真の 声聞なり」と. 

よ ぜんびくの み ならずと いえども ぶっぽうちゅうおんの せめを のがれんが ために ただ たいこうを とって ほぼ いったんを しめす. 
余 善比丘の 身 為らずと 雖も 仏法中怨の 責を 遁れんが 為に 唯 大綱を 撮つて 粗 一端を 示す. 

そのうえ さる げんにんねん ちゅうに えんりゃく こうふくの りょうじより たびたび そうもんを へ ちょくせん みきょうしょを もうし くだして. 
其の上 去る 元仁年 中に 延暦 興福の 両寺より 度度 奏聞を 経 勅宣 御教書を 申し 下して. 

ほうねんの せんちゃくの いんばんを だいこうどうに とりあげ さんぜの ぶつおんを ほうぜんが ために これを しょうしつせしむ. 
法然の 選択の 印板を 大講堂に 取り上げ 三世の 仏恩を 報ぜんが 為に 之を 焼失 せしむ. 

ほうねんの はかしょに おいては かんじんいんの つるめそうに おおせつけて はきゃくせしむ. 
法然の 墓所に 於ては 感神院の 犬神人に 仰せ付けて 破却せしむ. 

その もんてい りゅうかん しょうこう じょうかく さっしょう とうは おんごくに はいる せらる. 
其の 門弟 隆観 聖光 成覚 薩生 等は 遠国に 配流 せらる. 

そのご いまだ ごかんきを ゆるされず あに いまだ かんじょうを まいらせずと いわんや. 
其の後 未だ 御勘気を 許されず 豈 未だ 勘状を 進らせずと 云わんや. 

きゃく すなわち やわらぎて いわく. 
客 則ち 和ぎて 曰く. 

きょうを くだし そうを ぼうずること いちにんには ろんじ がたし. 
経を 下し 僧を 謗ずること 一人には 論じ 難し. 

しかれども だいじょうきょう 637ぶ 2883かん ならびに いっさいの しょぶつ ぼさつ および もろもろの せ てん とうを もって しゃへいかくほうの よじに のす. 
然れども 大乗経 六百三十七部 二千八百八十三巻 並びに 一切の 諸仏 菩薩 及び 諸の 世 天 等を 以て 捨閉閣抛の 四字に 載す. 

その ことば もちろんなり その もん けんねんなり. 
其の 詞 勿論なり 其の 文 顕然なり. 

この かきんを まもって その ひぼうを なせども まようて いうか さとりて かたるか. 
此の 瑕瑾を 守つて 其の 誹謗を 成せども 迷うて 言うか 覚りて 語るか. 

けんぐ べんせず ぜひ さだめ がたし. 
賢愚 弁ぜず 是非 定め 難し. 

ただし さいなんの おこりは せんちゃくに よるの よし その ことばを さかんに いよいよ その むねを だんず. 
但し 災難の 起りは 選択に 因るの 由 其の 詞を 盛に 弥よ 其の 旨を 談ず. 

しょせん てんかたいへい こくどあんのんは くんしんの ねがう ところ どみんの おもう ところなり. 
所詮 天下泰平 国土安穏は 君臣の 楽う 所 土民の 思う 所なり. 

それ くには ほうに よって さかえ ほうは ひとに よって とうとし. 
夫れ 国は 法に 依つて 昌え 法は 人に 因つて 貴し. 

くに ほろび ひと めっせば ほとけを だれが あがむ べき ほうを だれが しんず べきや. 
国 亡び 人 滅せば 仏を 誰か 崇む 可き 法を 誰か 信ず 可きや. 

まず こっかを いのりて すべからく ぶっぽうを たつべし. 
先ず 国家を 祈りて 須く 仏法を 立つべし. 

もし わざわいを けし なんを とどむるの じゅつ あらば きかんと ほっす. 
若し 災を 消し 難を 止むるの 術 有らば 聞かんと 欲す. 

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by hiraganagosho | 2013-03-02 20:03 | 立正あんこく論