立正あんこく論 (安国論) ひらがな漢字交互文8

◎立正あんこく論 ひらがな漢字交互文8
(ごしょ24ページ16行目から25ページ18行目)

しゅじん えみ とどめて いわく. 
主人 咲み 止めて 曰く. 

からきことを たでの はに ならい くさき ことを かわやに わする. 
辛きことを 蓼の 葉に 習い 臭きことを 溷厠に 忘る. 

ぜんげんを きいて あくげんと おもい ぼうしゃを さして しょうにんと いい しょうしを うたがって あくりょに ぎす. 
善言を 聞いて 悪言と 思い 謗者を 指して 聖人と 謂い 正師を 疑つて 悪侶に 擬す. 

その まよい まことに ふかく その つみ あさからず. 
其の 迷誠に 深く 其の 罪 浅からず. 

ことの おこりを きけ くわしく その おもむきを だんぜん. 
事の 起りを 聞け 委しく 其の 趣を 談ぜん. 

しゃくそん せっぽうの うち いちだいごじの あいだに せんごを たてて ごんじつを べんず. 
釈尊 説法の 内 一代五時の 間に 先後を 立てて 権実を 弁ず. 

しかるに どんらん どうしゃく ぜんどう すでに ごんに ついて じつを わすれ さきに よって のちを すつ. 
而るに 曇鸞 道綽 善導 既に 権に 就いて 実を 忘れ 先に 依つて 後を 捨つ. 

25ページ冒頭

いまだ ぶっきょうの えんでいを さぐらざる ものなり. 
未だ 仏教の 淵底を 探らざる 者なり. 

なかんずく ほうねんは その ながれを くむと いえども その みなもとを しらず ゆえんは いかん. 
就中 法然は 其の 流を 酌むと 雖も 其の 源を 知らず 所以は 何ん. 

だいじょうきょうの 637ぶ 2883かん ならびに いつさいの しょぶつ ぼさつ および もろもろの せ てん とうを もって しゃへいかくほうの じを おいて いっさいしゅじょうの こころを かろんず. 
大乗経の 六百三十七部 二千八百八十三巻 並びに 一切の 諸仏 菩薩 及び 諸の 世 天等を 以て 捨閉閣抛の 字を 置いて 一切衆生の 心を 薄んず. 

これ ひとえに しきょくの ことばを のべて まったく ぶっきょうの せつを みず もうごの いたり あっくの とが いうても ならびなし せめても あまり あり. 
是れ 偏に 私曲の 詞を 展べて 全く 仏経の 説を 見ず 妄語の 至り 悪口の 科 言うても 比無し 責めても 余り 有り. 

ひと みな その もうごを しんじ ことごとく かの せんちゃくを とうとぶ. 
人 皆 其の 妄語を 信じ 悉く 彼の 選択を 貴ぶ. 

ゆえに じょうどの さんきょうを あがめて しゅうきょうを なげう ちごくらくの いちぶつを あおいで しょぶつを わする. 
故に 浄土の 三経を 崇めて 衆経を 抛ち 極楽の 一仏を 仰いで 諸仏を 忘る. 

まことに これ しょぶつ しょきょうの おんてき せいそう しゅうじんの しゅうてきなり. 
誠に 是れ 諸仏 諸経の 怨敵 聖僧 衆人の 讎敵なり. 

この じゃきょう ひろく はっこうに ひろまり あまねく じゅっぽうに へんす. 
此の 邪教 広く 八荒に 弘まり 周く 十方に 遍す. 

そもそも きんねんの さいなんを もって おうだいを なんずるの よし あながちに これをおそる. 
抑 近年の 災難を 以て 往代を 難ずるの 由 強ちに 之を 恐る. 

いきさきか せんれいを ひいて なんじが まよいを さとすべし. 
聊か 先例を 引いて 汝が 迷を 悟す可し. 

しかん だい2に しきを ひいて いわく 「しゅうの まつに ひほつ たんしん れいどに よらざるものあり」. 
止観 第二に 史記を 引いて 云く 「周の 末に 被髪 袒身 礼度に 依らざる者 有り」. 

ぐけつの だい2に この もんを しゃくするに さでんを ひいて いわく. 
弘決の 第二に 此の 文を 釈するに 左伝を 引いて 曰く. 

「はじめ へいおうの ひがしに うつりしに いせんに かみを かぶろにする ものの のに おいて まつるを みる. 
「初め 平王の 東に 遷りしに 伊川に 髪を 被にする 者の 野に 於て 祭るを 見る. 

しきしゃの いわく ひゃくねんに およばじ その れい まず ほろびぬ」と
識者 の曰く 百年に 及ばじ 其の 礼 先ず 亡びぬ」と

ここに しらんぬ しるし まえに あらわれ わざわい のちに いたることを. 
爰に 知んぬ 徴 前に 顕れ 災い 後に 致ることを. 

また げんせきが いつざい なりしに ほうとう さんたいす のちに くげの しそん みなこれに ならいて. 
又 阮藉が 逸才 なりしに 蓬頭 散帯す 後に 公卿の 子孫 皆 之に 教いて. 

どこう あい はずかしむる ものを まさに しぜんに たっすと いい そんせつ こうじする ものを よんで でんしゃと なす. 
奴苟 相 辱しむる 者を 方に 自然に 達すと 云い ソン節 兢持する 者を 呼んで 田舎と 為す. 

これを しば しの めっする そうと なす. 
是を 司馬 氏の 滅する 相と 為す. 

また じかくだいしの にっとうじゅんれいきを あんずるに いわく. 
又 慈覚大師の 入唐巡礼記を 案ずるに 云く. 

「とうの ぶそうこうてい えしょう がんねん みことのりして しょうきょうじの きょうぞうほっしをして しょじに おいて みだ ねんぶつの おしえを つたえしむ. 
「唐の 武宗皇帝 会昌 元年 勅して 章敬寺の 鏡霜法師をして 諸寺に 於て 弥陀 念仏の 教を 伝え令む. 

てら ごとに みっか じゅんりん すること たえず. 
寺 毎に 三日 巡輪 すること 絶えず. 

どう にねん かいこつこくの ぐん へい とう とうの さかいを おかす.  
同 二年 回鶻国の 軍 兵 等 唐の 堺を 侵す. 

どう さんねん かほくの せつど し たちまち らんを おこす. 
同 三年 河北の 節度 使 忽ち 乱を 起す. 

その ご だいばんこく また めいを こばみ かいこつこく かさねて ちを うばう. 
其の 後 大蕃国 更た 命を 拒み 回鶻国 重ねて 地を 奪う. 

およそ へいらん しんこうの よに おなじく さいか ゆうりの あいだに おこる. 
凡そ 兵乱 秦項の 代に 同じく 災火 邑里の 際に 起る. 

いかに いわんや ぶそう おおいに ぶっぽうを はし おおく じとうを めっす らんを おさむること あたわずして ついに もって ことあり」. 
何に 況んや 武宗 大に 仏法を 破し 多く 寺塔を 滅す 乱を 撥ること 能わずして 遂に 以て 事有り」. 

これを もって これを おもうに ほうねんは ごとばいんの ぎょう けんにん ねんちゅうの ものなり. 
此れを 以て 之を 惟うに 法然は 後鳥羽院の 御宇 建仁 年中の 者なり. 

かの いんの おんこと すでに がんぜんに あり しかれば すなわち だいとうに れいをのこし わが ちょうに しるしを あらわす. 
彼の 院の 御事 既に 眼前に 在り 然れば 則ち 大唐に 例を 残し 吾が 朝に 証を顕す. 

なんじ うたがうこと なかれ なんじ あやしむこと なかれ. 
汝 疑うこと 莫かれ 汝 怪むこと 莫かれ. 

ただ すべからく きょうを すてて ぜんに きし みなもとを ふさぎ ねを たつべし. 
唯 須く 凶を 捨てて 善に 帰し 源を 塞ぎ 根を 截べし. 

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by hiraganagosho | 2013-02-28 21:48 | 立正あんこく論