立正あんこく論 (安国論) ひらがな漢字交互文 6

◎立正あんこく論 ひらがな漢字交互文6
(ごしょ22ページ2行目から24ページ4行目)

しゅじんのいわく. 
主人の曰く. 

ごとばいんの ぎょうに ほうねんと いうもの あり せんちゃくしゅうを つくる. 
後鳥羽院の 御宇に 法然と 云うもの 有り 選択集を 作る. 

すなわち いちだいの しょうきょうを はし あまねく じゅっぽうの しゅじょうを まよわす. 
則ち 一代の 聖教を 破し アマネく 十方の 衆生を 迷わす. 

その せんちゃくに いわく. 
其の 選択に 云く. 

どうしゃくぜんじ しょうどう じょうどの にもんを たて しょうどうを すてて ただしく じょうどに きするの もん. 
道綽禅師 聖道 浄土の 二門を 立て 聖道を 捨てて 正しく 浄土に 帰するの 文. 

はじめに しょうどうもんとは これに ついて 2 あり.  
初に 聖道門とは 之に 就いて 二 有り. 

ないし これに じゅんじ これを おもうに まさに みつだい および じつだいをも ぞんすべし. 
乃至 之に 準じ 之を 思うに 応に 密大 及以び 実大をも 存すべし. 

しかれば すなわち いまの しんごん ぶっしん てんだい けごん さんろん ほっそう じろん じょうろん これらの はっけの い ただしく ここに あるなり. 
然れば 則ち 今の 真言 仏心 天台 華厳 三論 法相 地論 摂論 此等の 八家の 意 正しく 此に 在るなり. 

どんらんほっし おうじょうろんの ちゅうに いわく つつしんで りゅうじゅぼさつの じゅうじゅうびばしゃを あんずるに いわく. 
曇鸞法師 往生論の 注に 云く 謹んで 竜樹菩薩の 十住毘婆沙を 案ずるに 云く. 

ぼさつ あびばっちを もとむるに 2しゅの みち あり. 
菩薩 阿毘跋致を 求むるに 二種の 道 有り. 

1には なんぎょうどう 2には いぎょうどう なり. 
一には 難行道 二には 易行道 なり. 

このなか なんぎょうどうとは すなわち これ しょうどうもんなり いぎょうどうとは すなわち これ じょうどもん なり. 
此の中 難行道とは 即ち 是れ 聖道門なり 易行道とは 即ち 是れ 浄土門 なり. 

じょうどしゅうの がくしゃ まず すべからく この むねを しるべし. 
浄土宗の 学者 先ず 須らく 此の 旨を 知るべし. 

たとい さきより しょうどうもんを まなぶ ひとなりと いえども もし じょうどもんに おいて その こころざし あらん ものは すべからく しょうどうを すてて じょうどに きすべし. 
設い 先より 聖道門を 学ぶ 人なりと 雖も 若し 浄土門に 於て 其の 志 有らん 者は 須らく 聖道を 棄てて 浄土に 帰すべし. 

また いわく ぜんどうわじょう しょうぞうの 2ぎょうを たて ぞうぎょうを すてて しょうぎょうに きするの もん. 
又 云く 善導和尚 正雑の 二行を 立て 雑行を 捨てて 正行に 帰するの 文. 

だいいちに どくじゅぞうぎょうとは かみの かんぎょうとうの おうじょう じょうどのきょうを のぞいて. 
第一に 読誦雑行とは 上の 観経等の 往生 浄土の経を 除いて. 

いげ だいしょうじょう けんみつの しょきょうに おいて じゅじ どくじゅするを ことごとく どくじゅぞうぎょうと なずく. 
已外 大小乗 顕密の 諸経に 於て 受持 読誦するを 悉く 読誦雑行と 名く. 

だいさんに らいはいぞうぎょうとは かみの みだを らいはいするを のぞいて. 
第三に 礼拝雑行とは 上の 弥陀を 礼拝するを 除いて. 

いげ いっさいの しょぶつぼさつ とう および もろもろの せてん とうに おいて らいはいし くぎょうするを ことごとく らいはいぞうぎょうと なずく. 
已外 一切の 諸仏菩薩 等 及び 諸の 世天 等に 於て 礼拝し 恭敬するを 悉く礼拝雑行と 名く

わたくしに いわく この もんを みるに すべからく ぞうを すてて せんを しゅうすべし. 
私に 云く 此の 文を 見るに 須く 雑を 捨てて 専を 修すべし. 

あに ひゃく そく ひゃくしょうの せんしゅう しょうぎょうを すてて かたく せんちゅうむいちの ぞうしゅう ぞうぎょうを しゅうせんや. 
豈 百 即 百生の 専修 正行を 捨てて 堅く 千中無一の 雑修 雑行を 執せんや. 

ぎょうじゃ よく これを しりょうせよ. 
行者 能く 之を 思量せよ. 

また いわく じょうげん にゅうぞうろくの なかに はじめ だいはんにゃきょう 600かんより ほうじょうじゅうきょうに おわるまで. 
又 云く 貞元 入蔵録の 中に 始め 大般若経 六百巻より 法常住経に 終るまで. 

けんみつの だいじょうきょう そうじて 637ぶ 2883かんなり. 
顕密の 大乗経 総じて 六百三十七部 二千八百八十三巻なり. 

みな すべからく どくじゅ だいじょうの いっくに しょうすべし. 
皆 須く 読誦 大乗の 一句に 摂すべし. 

まさに しるべし ずいたの まえには しばらく じょうさんの もんを ひらくと いえども ずいじの あとには かえって じょうさんの もんを とず. 
当に 知るべし 随他の 前には 暫く 定散の 門を 開くと 雖も 随自の 後には 還て 定散の 門を 閉ず. 

ひとたび ひらいて いご ながく とじざるは ただ これ ねんぶつの いちもんなりと. 
一たび 開いて 以後 永く 閉じざるは 唯 是れ 念仏の 一門なりと. 

また いわく ねんぶつの ぎょうじゃ かならず さんじんを ぐそくすべきの もん. 
又 云く 念仏の 行者 必ず 三心を 具足す可きの 文. 

かんむりょうじゅきょうに いわく どうきょうの じょに いわく. 
観無量寿経に 云く 同経の 疏に 云く. 

とうて いわく もし げぎょうの ふどう じゃぞうの ひと とう あって げじゃいけんの なんを ふせがん. 
問うて 曰く 若し 解行の 不同 邪雑の 人 等 有つて 外邪異見の 難を 防がん.

あるいは ゆくこと 1ぶん 2ぶんにして ぐんぞくとう よび かえすとは すなわち べつげ べつぎょう あっけんの ひと とうに たとう. 
或は 行くこと 一分 二分にして 群賊等 喚 廻すとは 即ち 別解 別行 悪見の 人 等に 喩う. 

しに いわく また この なかに いっさいの べつげ べつぎょう いがく いけん とうと いうは これ しょうどうもんを さす. 
私に 云く 又 此の 中に 一切の 別解 別行 異学 異見 等と 言うは 是れ 聖道門を 指す. 

23ページ冒頭

また さいご けっくの もんに いわく. 
又 最後 結句の 文に 云く. 

「それ すみやかに しょうじを はなれんと ほっせば 2しゅの しょうほうの なかに しばらく しょうどうもんを さしおきて えらんで じょうどもんに いれ.  
「夫れ 速かに 生死を 離れんと 欲せば 二種の 勝法の 中に 且く 聖道門を 閣きて 選んで 浄土門に 入れ. 

じょうどもんに いらんと ほっせば しょうぞう 2ぎょうの なかに しばらく もろもろの ぞうぎょうを なげうちて えらんで まさに しょうぎょうに きすべし」. 
浄土門に 入らんと 欲せば 正雑 二行の 中に 且く 諸の 雑行を 抛ちて 選んで 応に 正行に 帰すべし」. 

これに おいて これを みるに どんらん どうしゃく ぜんどうの みょうしゃくを ひいて しょうどう じょうど なんぎょう いぎょうの むねを たて. 
之に 就いて 之を 見るに 曇鸞 道綽 善導の 謬釈を 引いて 聖道 浄土 難行 易行の 旨を 建て. 

ほっけ しんごん そうじて いちだいの だいじょう 637ぶ 2883かん いっさいの しょぶつ ぼさつ および もろもろの せてん とうを もって. 
法華 真言 惣じて 一代の 大乗 六百三十七部 二千八百八十三巻 一切の 諸仏 菩薩 及び 諸の 世天 等を 以て. 

みな しょうどう なんぎょう ぞうぎょう とうに せっして. 
皆 聖道 難行 雑行 等に 摂して. 

あるいは すて あるいは とじ あるいは さしおき あるいは なげうつの 4じを もって おおく いっさいを まどわし. 
或は 捨て 或は 閉じ 或は 閣き 或は 抛つ 此の 四字を 以て 多く 一切を 迷わし. 

あまつさえ さんごくの せいそう じゅっぽうの ぶっていを もって みな ぐんぞくと ごうし あわせて めり せしむ. 
剰え 三国の 聖僧 十方の 仏弟を 以て 皆 群賊と 号し 併せて 罵詈 せしむ. 

ちかくは しょえの じょうどの さんぶきょうの ゆいじょ ごぎゃく ひぼう しょうほうの せいもんに そむき.近くは 所依の 浄土の 三部経の 唯除 五逆 誹謗 正法の 誓文に 背き. 

とおくは いちだい ごじの かんじんたる ほけきょうの だい2の. 
遠くは 一代 五時の 肝心たる 法華経の 第二の. 

「もし ひと しんぜずして この きょうを きぼうせば ないし そのひと いのち おわって あびごくに いらん」の かいもんに まよう ものなり. 
「若し 人 信ぜずして 此の 経を 毀謗せば 乃至 其の人 命 終つて 阿鼻獄に 入らん」の 誡文に 迷う 者なり. 

ここに おいて よ まつだいに および ひと しょうにんに あらず おのおの みょうくに いって ならびに じきどうを わする. 
是に 於て 代 末代に 及び 人 聖人に 非ず 各 冥衢に 容つて 並びに 直道を 忘る. 

かなしいかな どうもうを うたず いたましいかな いたずらに じゃしんを もよおす. 
悲いかな 瞳矇を ウたず 痛いかな 徒に 邪信を 催す. 

ゆえに かみ こくおうより しも どみんに いたるまで. 
故に 上 国王より 下 土民に 至るまで.  

みな きょうは じょうどさんぶの ほかの きょう なく ほとけは みだ さんぞんの ほかの ほとけ なしと おもえり. 
皆 経は 浄土三部の 外の 経 無く 仏は 弥陀 三尊の 外の 仏 無しと 謂えり. 

よって でんぎょう ぎしん じかく ちしょうとう あるいは ばんりの はとうを わたって わたせし ところの しょうきょう. 
仍つて 伝教 義真 慈覚 智証等 或は 万里の 波涛を 渉つて 渡せし 所の 聖教. 

あるいは いっちょうの さんせんを めぐりて あがむる ところの ぶつぞう もしくは こうざんの いただきに けかいを たてて もって あんちし. 
或は 一朝の 山川を 廻りて 崇むる 所の 仏像 若しくは 高山の 巓に 華界を 建てて 以て 安置し. 

もしくは しんこくの そこに れんぐうを たてて もって すうちょうす. 
若しくは 深谷の 底に 蓮宮を 起てて 以て 崇重す. 

しゃか やくしの ひかりを ならぶるや. 
釈迦 薬師の 光を 並ぶるや. 

いを げんとうに ほどこし こくう じぞうの けを なすや やくを しょうごに こうむらしむ. 
威を 現当に 施し 虚空 地蔵の 化を 成すや 益を 生後に 被らしむ. 

ゆえに こくおうは ぐんごうを よせて もって とうしょくを あきらかにし じとうは でんえんを あてて もって くように そなう. 
故に 国王は 郡郷を 寄せて 以て 灯燭を 明にし 地頭は 田園を 充てて 以て 供養に 備う. 

しかるを ほうねんの せんちゃくに よって すなわち きょうしゅを わすれて. 
而るを 法然の 選択に 依つて 則ち 教主を 忘れて. 

さいどの ぶっだを たっとび ふぞくを なげうって とうほうの にょらいを さしおき. 
西土の 仏駄を 貴び 付属を 抛つて 東方の 如来を 閣き. 

ただ 4かん 3ぶの きょうてんを もっぱらにして むなしく いちだい ごじの みょうてんを なげうつ. 
唯 四巻 三部の 教典を 専にして 空しく 一代 五時の 妙典を 抛つ. 

これを もって みだの どうに あらざれば みな くぶつの こころざしを やめ ねんぶつの ものに あらざれば はやく せそうの おもいを わする.  
是を 以て 弥陀の 堂に 非ざれば 皆 供仏の 志を 止め 念仏の 者に 非ざれば 早く 施僧の 懐いを 忘る. 

ゆえに ぶっどう れいらくして がしょうの けむり おい そうぼう こうはいして ていそうの つゆ ふかし. 
故に 仏堂 零落して 瓦松の 煙 老い 僧房 荒廃して 庭草の 露 深し. 

しかりと いえども おのおの ごしゃくの こころを すてて ならびに こんりゅうの おもいを はいす. 
然りと 雖も 各 護惜の 心を 捨てて 並びに 建立の 思を 廃す. 

24ページ冒頭

これを もって じゅうじの せいそう ゆいて かえらず しゅごの ぜんじん さって きたる ことなし. 
是を 以て 住持の 聖僧 行いて 帰らず 守護の 善神 去つて 来る こと無し. 

これ ひとえに ほうねんの せんちゃくに よるなり. 
是れ 偏に 法然の 選択に 依るなり. 

かなしいかな すうじゅうねんの あいだ ひゃくせんまんの ひと まえんに とろかされて おおく ぶっきょうに まよえり. 
悲いかな 数十年の 間 百千万の 人 魔縁に 蕩かされて 多く 仏教に 迷えり. 

ぼうを このんで せいを わする ぜんじん いかりを なさざらんや. 
傍を 好んで 正を 忘る 善神 怒を 為さざらんや. 

えんを すてて へんを このむ あっき たよりを えざらんや. 
円を 捨てて 偏を 好む 悪鬼 便りを 得ざらんや. 

しかず かの ばんきを しゅうせんよりは この いっきょうを きんぜんには. 
如かず 彼の 万祈を 修せんよりは 此の 一凶を 禁ぜんには. 

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○立正あんこく論 ひらがな文 6へ

□立正あんこく論 語句解説 6へ

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by hiraganagosho | 2013-02-23 21:07 | 立正あんこく論